アプネア(APNEA=ラテン語で無呼吸、呼吸停止)。日本では耳慣れない言葉ですが、ヨーロッパでは「素潜りで行う」水中スポーツの総称として一般的に使われています。
いかに海中深く潜るかを競う「大深度閉息潜水競技」「水中射撃」「魚突き」「水中ホッケー」「水中写真」など様々なカテゴリーがあり、発祥の地イタリアだけでも7万人ものアプネア愛好者がいるといわれています。
アプネアの中で最も有名なものは、映画「グラン・ブルー」のテーマになった「大深度閉息潜水」競技です。50年以上も前に樹立された、-30mの素潜り世界記録は今や-75mまで伸び、グランブルーの主人公ジャック・マイヨールが、20年前に特殊な潜降ウェートと浮上用のエアリフトを用いて樹立した-102mの世界記録は-135mに塗り替えられています。
現在、アプネア競技のトップに君臨するのはイタリアのウンベルト・ペリッツアーリ氏ですが、バリアブルとノーリミッツの記録は1998年にかつてのチームメイト、ジャンルッカ・ジェノーニ氏により122mと135mにそれぞれ書き換えられました。依然としてペリッツァーリ氏が記録を保持しているコンスタントもあわせて、この3種目における競争は新時代を迎えた感があります。
現在のペリッツアーリ氏は競技者としてのみならず、アプネアアカデミーの教授として 後進の指導にあたり、また誰もが楽しめるレジャースポーツとしてのアプネアのワールド ワイドな普及に熱意を燃やしています。
ジャパン・アプネア・ソサエティ(JAS)が産声をあげたのは1998年1月のことです。発会のきっかけとなったのは氏の自伝「アプネア・海に融けるとき」と『月刊ダイビングワールド』に1年間連載したアプネアエッセイです。「世界中のどこの国よりも海から大きな恩恵を授かってきた日本で、その海と自由にコンタクトができるアプネアの啓発をして欲しい。そして世界のフリーダイバーが一堂に会するアプネアワールドカップへの参加を…」
ペリッツアーリ氏からの二つのメッセージが、彼に共鳴しアプネアをこよなく愛するフリーダイバーと彼らを側面から支えたいと願うスクーバダイバーを結びました。さらに伝説のフリーダイバー、ジャック・マイヨール氏、日本を代表する潜水生理学者、関邦博博士、そしてダイバーでもある作家、椎名桜子氏等の素晴らしい協力者を得ることが出来たのです。
主だったスクーバダイビング指導団体の調査によれば、日本のスクーバ人口は、現在50万人前後を推移しているといわれています。一方、アプネア人口はといえば、アプネアを奨励し普及しようとする組織や指導機関が日本に存在しなかったため愛好者数の確認さえされていません。とはいえ一人で黙々とアプネアに打ち込むフリーダイバーは各地に存在しており、時として一人でトレーニングをするがゆえの事故に見まわれているのが現状でした。
日本初のアプネア振興団体、JASは、日本のフリーダイバーたちをネットワークすることでフリーダイバー間のコミュニケーションを図り、より安全に自由にアプネアが楽しめる環境を作り出す事を目的としています。
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